インタビュー

後藤 高明

北海道社会事業協会帯広病院 総合診療科
専攻医3年目

北海道大学医学部 卒業
倶知安厚生病院 初期研修
北海道家庭医療学センター 後期研修
・帯広協会病院 医師

病院と診療所と患者層の違いに、さらなる学びの必要性を実感

私は最初学校の先生を目指し、実際に中学校の教員として2年間働いていました。その中で「自分のために勉強をし直したい」という思いが強くなり、「他学部に比べて年齢的なハンディが少ない」とアドバイスされたことから医学部に編入した、という経緯です。家庭医について知ったのは、当センターの指導医が大学を訪れ授業で紹介してくれたため。「臓器や病気だけを診るのではなく、人が持つ思いや期待、不安、家族背景といったものをすべてみる医療のあり方」「地域の文化や産業によっても必要とされる医療は異なるものである」という考え方は衝撃的でさえありました。そこには自分が本来やりたかった学校教育に通じるものもあると思えたからです。

現在「後期研修プログラム」の3年目となりましたが、帯広では急性期の患者さんや初めて出会う病気の患者さんも多く、自分の疾患知識やマネージメント知識はまだまだなのだと感じることの連続でした。帯広の前は寿都町立寿都診療所にいて、そこでは重症の患者さんが少なく、また疾患の種類もそれほどは多くなかったのです。だからと言って決して楽だと言うわけではなく、いつ重症の患者さんが来るかもしれないという不安や、その時に限られた検査機器でどう適確な診断をするかという不安は常にありました。紹介する側、される側、互いに異なる大変さがあるわけですから、お互いの立場を考え、患者さんにとっての最善が何かを判断することが何より大切になります。そういった点でも、都市部・郡部、病院・診療所での研修が受けられる当センターのプログラムは意義深いものだったと感じています。


ブレのない指導で安心して学ぶ4年間。

同じ価値観・概念を共有し、教育熱心な指導医たち

余談ですが、寿都では高齢で身寄りのない認知症の患者さんも多く、退院後に一人暮らしを続けることは困難だと思えるケースがありました。介護・福祉分野の方たちと連携して退院後の生活の方向付けをしたのも有意義な体験でした。帯広でも同様で、総合診療科の入院患者の8割以上は75歳以上の高齢者です。病棟に新しい入院患者さんが入ると、検査や診断をして、治療計画を立てますが、急性期を乗り切ってもすぐには家には帰れず行き場のない患者さんもいらっしゃいます。ソーシャルワーカーと相談して要介護認定の申請をしたり、施設入所への道筋を立てたりと行った経験を積むことができました。

北海道家庭医療学センターの研修の素晴らしさのひとつは指導医の充実にもあります。全体で30人近い指導医・フェローがいますが、全員が当センターで家庭医療を学んできたため、基本的に同じ価値観・概念を共有しているのです。ブレのない指導で安心して学べる4年間は大きなメリットとなります。家庭医に限らず一般的な疾患知識や身体診察などの技術は医師として絶対に必要なものです。これができなければどこへいっても絶対にやっていきません。そういった部分についてもしっかりと学ぶことができる当センターの研修は、後輩の皆さんに自信を持って薦められるものだと思います。

※ 勤務先・学年は全て取材当時のものです(2017年)

北海道社会事業協会帯広病院
総合診療科

〒080-0805
帯広市東5条南9丁目2番地
TEL.0155-22-6600
FAX.0155-24-7076


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