インタビュー

杉原 伸明

北海道社会事業協会帯広病院 総合診療科
専攻医1年目

自治医科大学医学部卒業
江別市立病院 初期研修
北海道家庭医療学センター 後期研修
・帯広協会病院 医師

患者の退院後を考えた多職種連携の実践に感銘

医学の知識を使って地域社会に貢献したり、かみ砕いた説明で患者さんに話を伝える医師像に憧れて、高校生の時から総合診療医になりたいと思ってきました。医学部に進学後は、先生方から「総合診療や家庭医に、学問として必要はない」と諭されることも多く、実は内科と迷った時期もありました。それでも初期研修の時に当センターの指導医が働く姿を現実に見て「自分がなりたかったのはこういう医師だ」と思ったことから家庭医への道を選び、当センターの後期研修プログラムを選択しました。内科を中心に学びながら総合診療を実践したらよい、と助言する先輩医師も多くいたのですが、総合診療に絞って専攻して知識と技術を深めたほうが、どんな状況でも必要とされ、どんな環境でも生きていける医者になれるのではないかと最終的には考えました。

帯広での研修では週2回の外来と救急、そのほかに病棟で10名前後の患者さんを担当しています。高齢で、お一人でたくさんの病気を抱えている患者さんが多いので、バランスを取りながら複合的・総合的に一番よい方法を選択することを考えています。帯広で1年過ごして強く感じたのは、患者さんの退院後を考えた多職種連携が当然のように実践されていることへの素晴らしさ。もちろんそこからは「調整力」とその大切さについても学ぶことができます。さらに、本人にも家族にも掘り下げて話を聞き、単なるフレームワークとしてではなく寄り添っていく指導医たちの姿勢からも多くのものを学べたと思います。


「ここが私の地域」という場所を求めて。

自身の診療を客観的に見直し、真に患者に寄り添える医師に

近年「患者さんに即したケア」の大切さが説かれることは多く、若い医師でもそれができる人も増えていると思います。ただ「患者さんに即する」とはどういうことなのか、実際にそうできているかどうか、どう検証するのか。多くの場合それは感覚的なもので、学問的な体系に乗ってはいないのではないでしょうか。当センターのプログラムでは、定期的に診察のビデオを撮影し指導医と共に確認する「ビデオレビュー」や、印象的な事例に対してできたこと、出来なかったことを研修医が自分でプレゼンする「SEA」などを通じて、冷静に自分の診療内容を見直せる仕組みが用意されています。

ひと言で家庭医と言っても、病院の家庭医と診療所の家庭医とでは、診療内容にも役割にも大きな違いがあるものです。高校の頃に私が憧れていた「医学をもって地域に貢献する」医師像は、地方の診療所の家庭医に近いものだったのだと思いますが、帯広での研修を通じ、今は病院での仕事にも大きな魅力を感じています。病院も診療所も困りごとを抱えた人が訪れる場所。それでも、そこが人生のよい転機になるよう手助けできる医者になりたいと言うのが今の私の思いです。いずれにせよ「地域に貢献するという」結果は一朝一夕に現れるものではなく、10年、20年というスパンで続けて得られるものなのかもしれません。「ここが私の地域」という場所はまだ持てずにいるのですが、出来る限り若いうちにあちこちを巡って「ここ」という地域に出会えれば、と思います。

※ 勤務先・学年は全て取材当時のものです(2017年)

北海道社会事業協会帯広病院
総合診療科

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TEL.0155-22-6600
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